2012/08/16

俊寛(鬼界島)

場所 九州 鬼界島(きかいがしま)

登場人物
 シテ 俊寛(しゅんかん)
 ツレ 平判官康頼(へいはんがんやすより)
 ツレ 丹波少将成経
         (たんばのしょうしょうなりつね)
 ワキ 赦免使(しゃめんし)
 アイ 船頭

喜多流では「鬼界島」と称し、他の四流は
「俊寛」という。


あらすじ

平家討伐の陰謀が露見して、丹波少将成経(ツレ)、平判官康頼(ツレ)と法勝寺入道俊寛(シテ)は、九州の鬼界島に流罪の身となっている。


都では、建礼門院(けんれいもんいん)が安徳(あんとく)天皇をお産みになられたので、罪人に対しての大赦(だいしゃ)が行われて、鬼界島の流人のうち、成経と康頼が赦免されることになり、赦免使(ワキ)は鬼界島に船出する。


中入り



鬼界島では康頼と成経が島に流された身の上を嘆いて、せめてこの島に熊野権現神社を設営してお参りしたいと話し合っている。そこに俊寛が現れて、「酒を持って来た」という。しかし、流人の身に酒など手に入るはずもなく、中身はただの水であったが、せめて酒宴の真似事をして心を和ませていた。


そこへ都からの赦免使が到着して、赦免状を差し出す。康頼(または成経)が読み上げると、赦免状には、「中宮御産のため、鬼界島の流人のうち、成経と康頼を赦免する」と書かれてあった。俊寛は自分の名前を読み落としたと怒るが、その名は書かれていない。赦免状を自身で確かめた俊寛は、「筆者が書き落としたか」と赦免使にも聞くが、赦免使は、「都で聞いた話でも、康頼と成経の二人をお連れして、俊寛は島に残せ」といわれたことを告げる。


そういわれた俊寛は、三人の罪は同じで、配属された職も同じなのに、どうして私が・・・ と、何度も読み返すが、僧都とも俊寛とも書かれた文字はなく、心萎れる思いである。


やがて時間が経ち、康頼と成経を乗せた船は鬼界島から出帆するが、一人島に残される俊寛は船の艫綱(ともずな)に取り付いて、「せめて対岸にでもいいから乗せていってほしい」と懇願する。しかし赦免使は艫綱を切って、船を出した。


手を合わせて懇願していた俊寛は、渚で船を追ったが、船は段々遠ざかって小さくなるばかりである。こうして俊寛一人だけが島に残されたのである。





欲望、無念、絶望。
俊寛の実に人間的な心理を描写した「現在能」
橋掛りを海に見立て、舞台は島、心理的な距離感をもうまく表現している。

人形浄瑠璃や歌舞伎でもおなじみの
「平家女護島(にょごのしま)」の原拠である。





 

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