2015/05/29

2015年6月の主な出演スケジュール


6日(土) 燦の会 喜多能楽堂 14:00~





7日(日) 奥川恒治の会 盛久 宝生能楽堂 14:00~





9日(火) 坂井同門会 熊野 宝生能楽堂 16:00~





11日(木) 梅若研能会 羽衣 国立能楽堂 14:00~





14日(日) 宝生会月並能 千手 宝生能楽堂 14:00~





20日(土) JBC能楽部会 葵上 国立能楽堂 10:30~





五雲会 大江山 宝生能楽堂 12:00~





21日(日) 梅若会 景清 梅若能楽学院 13:00~





27日(土) 和の会 咸陽宮★ 宝生能楽堂 16:00~





28日(日) 京都観世会 采女 京都観世会館 11:00~






★はワキツレ







2015/05/23

「長崎の聖母」 ボストン公演 ④

5月20日

今日はいよいよアメリカでの最終公演。
午後2時にホテルを出発して、昭和女子大学ボストン校へ。

レインボー・ホールが会場です。
十数年前の初演会場、長崎・浦上天主堂の雰囲気を思い出し、身が引き締まる。





















午後3時頃より聖歌隊との打合せ。
シスターの皆様の澄み切った歌声に聴き入る。

このボストン公演では、NYより人数が4人減ったため、演出が多少変わり、私も仕方を変えなければならないところが発生。
聖母の舞の前の「哀れみたまえ」の部分で正先へ出て、なにか型をしなければならないのですが、掌を合せて祈ってしまうと、祈る型ばかりになるので、どうしていいのか分からず、思い切ってシスターに助けを求めると、シスターから「右手を心臓に当ててほんの少し下を向いたらどうですか?」とのご意見を頂戴。本当に救われた気がしました。


午後4時過ぎより、通しリハーサル。
もう最終日だというのに未だ時差ボケが治らない自分。
リハーサル時の体調は最低で、セリフの絶句や言い間違えを連発。
字幕の係りをなさっていた現地在住でオペラ等の翻訳家の三浦真弓様には、大変ご心配をおかけしました(笑)

しかし!間の時間にいただいた差し入れの太巻きとおいなりさんで復活!
本番は集中力を高めて、ちゃんとやりましたよ!
 


「長崎の聖母」はNYで3回、ボストンで1回の計4回。
まだまだ演者が試行錯誤しながら、より進化させていこうとする気持ちの表れからか、この昭和ボストン校での公演が、今回の集大成になった気がします。
でもこれが最終形のはずがありません。まだまだ変わっていくのでしょう。

NYでの公演がけっして劣っていたわけではありませんよ。
能は一期一会。演者が良いと思っても、客席から見るとまた違うかもしれませんし、お客様の評価によっても・・・



今回の公演は、団長の意思でカーテンコールは一切なし。
その変わりボストンでは、この公演に携わって来られた方々へ感謝の気持ちをお伝えするため、終演後ロビーにてお客様も含めてお話しをしたり、写真を撮ったりして、交流の時間を作らせていただきました。



その後市内に移動して打上げ。
「Leagal Sea Food」にてオイスターやクラムチャウダー等を堪能。
さすがboston! 絶品! ご馳走さまでした。












翌朝は10時半過ぎに、リムジンバスにてBoston ジェネラル・エドワード・ローレンス・ローガン空港へ。長い名前ですね~。

JREXの青谷様、八代様、最後のお見送りまで、本当にお世話になりましたm(__)m
13時30分発、JL007便にて成田へ。定刻に無事に到着。







この公演でお世話になりました皆様へ改めて。

私は団長の清水師からの依頼で参加させていただいたものですが、初演よりワキ巡礼者を勤めているものとして御礼を申し上げさせてくださいませ。


10日以上に亘るNY&Boston公演。無事成功裡に終えることができましたのも、偏に公演の実現に携わってこられた皆様のおかげです。
NYではJapan Society始め大勢の皆様。特に塩谷様、お疲れ様でした。
BostonではJREX、ボストン日本女性の会、他様々な部門でお世話になりましたボランティアの皆様、心より御礼申し上げます。
日本でも長崎市を始め、寄付金を賜った皆様、まだまだ私の知らないところでお世話になっている方々が大勢いらっしゃるのでしょう。
星槎大学副学長の細田様にも御礼申し上げなければなりません。

すべての皆様に、心より感謝申し上げます。


これほど皆様の公演の成功を願う気持ちが伝わった公演は初めてです。

役者冥利に尽きます。

戦後70年。
図らずもNYでは核不拡散条約の再検討会議がなされている間での公演、ボストン本公演は勿論、原爆が作成されたマサチューセッツ工科大学(MIT)や世界の癌研究の最先端、ダナ・ファーバー癌研究所にてのワークショップなど。
大変意義深い事と存じますし、改めて世界平和を祈らずにはいられません。


清水団長はじめ同行の楽師の皆様、有難うございました。


最後になりましたが、皆様の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。





「長崎の聖母」 ボストン公演 ③

5月19日

JREX様お手配のバスにて、ホテルをお昼過ぎに出発。

今日はマサチューセッツ工科大学(MIT)にてワークショップ。






この建物 W20棟4階・491教室にて
MIT内のCOOP
大鼓の白坂信行師
棟内の学食にて腹ごしらえ
巨大ブリトー(笑)


今日のワークショップは私も参加しました。
午後3時30分開始。
前日のダナ・ファーバー同様、先ずは主催者の挨拶、多田式江様の挨拶。

続いて清水寛二師による「能の紹介・解説」が約10分。

その後私が「能のワキ」について、10分強話させていただきました。
ボランティアの山本氏(大学を卒業したばかり)が通訳をしてくれました。




囃子方四人による「能の囃子の紹介、演奏」 約15分




最後に短縮版・能「羽衣」をお見せしました。



扇を釣り竿に見立てて











MITの学生さんや他校の学生さん、能に関心をお持ちの方々、満席約50名くらいの方が、最後の質疑応答まで、大変熱心に参加下さいました。
全部で1時間半以上。





終了後、タクシーにて在ボストン日本国総領事公邸へ。
総領事自ら我々をお迎えくださり、ボストンでのすべての催しの関係者とともに、食事をご馳走になりながら、歓談させていただきました。

残念ながらセキュリティのため、建物の写真撮影はNGでしたので、以下の写真は領事の了承済の写真です。

アメリカはさすがに大きいので、大使だけではなく、全米10か所以上に総領事を配置しているそうです。

このボストンの公邸は、以前は違う場所を借りていたらしいのですが、バブルの頃に、この建物を買い取り、改装して公邸としているそうです。
総領事は、古くて使い勝手が悪いとおっしゃってましたが、とても重厚感のある素敵な建物でした。
チェスナットヒルにあり、新緑が美しい!

左が総領事の姫野勉様、右が小鼓の飯田師
私との写真は超ピンボケ(T_T)
誰だよ、シャッター押したの(笑)
 
左より、シテ方安藤師、狂言(神父役)の小笠原師、JREXの青谷氏
小鼓の飯田師、私




我々からの御礼の込めて、「高砂・四海波」を清水師と飯田師で。
最後は楽師全員で「猩々」を謡わせていただきました。




姫野様は総領事に任命され、ボストン入り当日、Fenway Park で行われたRed Soxの公式戦の始球式で、ピッチャーをなさったそうで、その時のお話を本当に嬉しそうにお話しされていました。

大変美味しいご馳走をいただき、有難うございました。

 

2015/05/20

「長崎の聖母」 ボストン公演 ②

5月18日

NYのホテルの朝食はヨーグルトしかなかったので、向かいのDeliへ行ってサラダなど色々買って食べてたのですが、ボストンのホテルには付いているのでいただいてます。
でもやはりサラダがない。






今日は ハーバード大学附属ダナ・ファーバー癌研究所にてのワークショップ(以下WS)。
ホテルを9時半に出発。10時頃に到着。
WSが夕方5時半からなのになぜこんなに早く、と思ったのですが、さすが世界一癌研究所。
セキュリティがきびしいのと、最終日の公演場所を下見に行くスタッフがいたりしたので、全員揃ってダナ・ファーバー入りするのは仕方ないです。

そういう訳で4時まで自由時間。
私は九州の小鼓方の飯田清一師と、市内観光へ。

まずはボストン美術館。



おりしも「北斎展」をやっています。
鑑賞しようと思ったのですが、つい去年上野で見た「北斎展」を思い出し(実際に展示されている数は比べ物にならないのだろうが・・)、またすぐ近くに Boston Red Sox のフランチャイズ Fenway Park があるので、そちらの誘惑に負けて入館せず。

Fenway Parkは別にしっかり書きますが、本当に感動したので後悔はしてません。



本当にラッキーが重なって、球場内を案内してくれるツアーに参加でき感激!




3時45分にダナ・ファーバーに戻り、4時より病院内の見学ツアー。
ボランティアの方が付いて回って説明してくれます。しばらく写真を御覧ください。


  



院内には患者のヒーリング用の様々な部屋が作られています
こちらの新館を建てる時、向かい側の小児病棟に入院している子供たちが、建築の様子をじっとみていたのですが、ある時子供たちが工事の人たちへ自分の名前と工事関係者へのメッセージを書いた紙を掲げるようになり、だんだん子供たちと親しくなっていった工事の人々が、新しいビルの鉄骨に子供たちの名前をスプレーで記し、子供たちの病気の快復を祈ったそうです。感動で涙が出てきました。
寄付金(1口約30万)を納めた人の名前とメッセージが、一枚一枚に書かれています。

ここでは試験用の生き物に、マウスではなく、??フィッシュを使っているそうです。透明で結果が出るのがマウスよりも早いらしい。一匹一匹にやはり寄付金をした人の名前が書かれています。

アメリカは寄付社会ですね。善悪両面あると思います。
一人ひとりが積極的に選択して社会に貢献する。反面、選択から漏れる仕事がある。
恵まれない底辺や少数派が阻害される。アメリカ社会の側面ですね。
また寄付が税金から半分控除される制度が行き過ぎを呼んでいるのかも(日本の控除は10%)。



病院内のジミー・ファンド講堂にてのWS。
私はこの日はOFFでしたので、拝見、撮影班でした(笑)


先ずは主催者側の御挨拶に続き、今回このツアーに同行されている「長崎の聖母」の作者、故多田富雄先生の令夫人のメッセージ。


清水師の「能の紹介、解説」
通訳は星槎大学副学長の細田満和子(みわこ)様
装束付けを柴田師が解説
舞囃子「羽衣」を披露
シテは浅見慈一師
この後質疑応答があり、海外ならではの難しい?質問が続出。
予定の60分を大幅に超えての終了。


その後場所をダナ・ファーバー休館ロビーに変えて歓迎会。
開始前に我々側からの御礼として、囃子方四人による「楽(がく)」の演奏。



舞台の照明や音声を担当する重要な役のスタッフである、
小坂部恵次氏、齋藤茂男氏、飯田師再登場。


終了後お弁当をいただき、ホテルに帰ると爆睡(といっても3時にはめざめる 笑)。
さすがにFenwayが効いたか。この日の歩数は17000歩越え。