2012/03/27

2012/4/1  春の北國宝生能



石川県の北國新聞社が主催する公演です。
年2回、春と秋の演能会です。

   能 景清   シテ 渡邊荀之助 ワキ 殿田謙吉

   仕舞 三輪   宝生和英

   狂言   釣針   野村祐丞

   能 西行桜 シテ  佐野由於 ワキ 宝生 閑

   能 来殿   シテ  藪 俊彦   ワキ 苗加登久治    


午後1時 開演 (正午 開場)  石川県立能楽堂

お申込み 北國宝生会事務局
                                  TEL  076-260-3581
                                  会員は 年会費13000円で年2回、春秋の演能をご鑑賞
                                  いただきます



私は「西行桜」のワキツレにも出演します。

北國宝生能は、昭和53(1978)年より続いている
伝統ある会です。
皆様のお越しをお待ち申し上げます。



近年、能楽愛好者の高齢化や年2回の会員制などがネックなのか、会員数が減少し、客席も少し寂しいのですが、1回だけの観能も可能ですので、観能希望の方は、事務局へお問い合わせ下さいませ。



我々能楽会側にも重大な責任がありますが、能楽会以外の団体が会を主催するときは、企画の段階から、双方が熱意と協調性をもって進めていかなければ、良い会にはなりません。

顧客を確保したい方針も解りますが、新聞社には、販売方法の再考を切に願います。
またチラシがないと、我々も宣伝がしにくい。それも早い時期でないと、新しいお客様を見つけるのは難しいです。

動き出しの時期を早めることが肝要ですね。


2012/03/26

2012年5月の主な出演スケジュール


2日(水) 明治神宮奉納能 八島 明治神宮
5日(土) 能って何? 土蜘 石川県立能楽堂
6日(日) 金沢能楽会定例能 藤栄 石川県立能楽堂
10日(木) 下平克宏演能会 隅田川 国立能楽堂
12日(土) 大宮八幡薪能 藤戸 大宮八幡
13日(日) 宝生会月並能 昭君 宝生能楽堂
18日(金) 河口湖ろうそく能 安達原 富士河口湖町
勝山ふれあいセンター
「さくやホール」
19日(土) 桜詠会 頼政 矢来能楽堂
20日(日) 梅若会 桜川 梅若能楽学院
22日(火) あさば能 頼政 修善寺あさば旅館
23日(水) 杜の会 桜川 観世能楽堂
銕仙会青山能 芦刈 銕仙会能楽研修所

2012/03/25

2012/3/29  さわってみよう 能の世界 ~新潟

3月29日は新潟へ行きます。

さわってみよう 能の世界

りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館能楽堂
午後1時開始






ブログに載せておきながら、先ずもって、謝らなければなりません。
申し込み受付は既に終了しております。

この公演は、文化庁主催、共催は公益社団法人能楽協会と財団法人新潟市芸術文化振興財団。

小中学生のお子さんたちに、能楽体験をしていただくための公演です。

足袋を履いて能舞台を歩いてみたり、能の楽器を試してみたり、能を観たりなど、楽しみながら能楽に親しんでいただきます。

参加された親子の方々には毎回大好評で、リピーターもいらっしゃる程です。

全国各地で年1回、催されています。

次回からはもっと早く発信しますので、お見逃しなく!

皆さん是非是非!

2012/03/17

賀茂別雷(上賀茂)神社(京都市北区上賀茂本山)「賀茂・加茂」

ホテルの側の四条高倉のバス停から京都市バスに乗り、終点の上賀茂神社前で下車。
京都でのバスの乗り方も、だいぶ解ってきた。
タクシーで行けば3000円は裕に超えるのに
バス代は220円。
これは使わない手はない。



楼門

賀茂別雷(わけいかずち)神社   

山城国一ノ宮


山城国風土記』逸文では、玉依日売(たまよりひめ)が加茂川の川上から流れてきた丹塗矢を床に置いたところ懐妊し、それで生まれたのが賀茂別雷命で、兄玉依日古(あにたまよりひこ)の子孫である賀茂県主の一族がこれを奉斎したと伝える。丹塗矢の正体は、乙訓神社火雷神とも大山咋神ともいう。玉依日売とその父の賀茂建角身命は下鴨神社に祀られている。


御祭神は 
賀茂別雷大神(かもわけいかずちのおおかみ)


御神徳は、厄除として雷(いかづち)の御神威により、厄を祓いあらゆる災難を除き給う厄除(やくよけ)明神・落雷除・電気産業の守護神として広く信仰されています。また方除として桓武天皇の御代に都が京都に遷されて以来、皇城鎮護の神、鬼門の守り神、総地主の神として崇められ、今日も建築関係等の方除祈願が多くあります。




本殿・権殿東西に並び建ち、共に流れ造の典型として国宝に指定されている。
文久3(1863)年の造替で、他の祝詞舎(のりとのや)、透廊(すいろう)等の建物は、おおむね寛永5(1628)年の再建で重要文化財に指定されている。
又、境内全域は平成6年(1994)に、「古都京都の文化財」の一つとして、ユネスコが制定する
人類共有の世界文化遺産に登録された。


境内には、8つの摂社と、16の末社がある。




賀茂祭(葵祭) 勅祭五月十五日


欽明天皇の御代(六世紀)天下風雨順ならず、庶民大いに嘆いたので、勅して占わしたところ、賀茂大神の祟り(たたり)であると判った。そこで馬に鈴をかけ走らせ祭祀を行った結果、五穀成熟して天下泰平となった。このことにより毎年国家的な行事として祭りが行われるようになった。
神前に葵を献じ、全部の社殿には葵を飾り
奉仕員全て葵を着けるので、葵祭ともいう。
五月十五日、皇室より勅使を御差遣になり
旧儀のより行われる。その行列は近衛使代を
中心に牛車、花傘、斎王代列など総勢五百名、列の長さは800メートルに及ぶ。
先ず、午前京都御所を出発、下鴨神社にて祭儀を行った後、再び行粧を整えて、賀茂川の堤を北上し、午後当社に到着。勅使の御祭文奏上、牽馬(ひきうま)、東遊、走馬等の儀が約二時間にわたり、古儀のまま行われる。
清らかな流れと、新緑の境内で行われるこの祭儀の有様は、さながら王朝絵巻の如くである。


平成26年の式年遷都(といっても建て替えるわけではなく、屋根を葺き替える)に向けて、まず本殿の廻りの社屋の屋根を葺き替える作業として、ビニールテントのようなものに覆われていたため、奥の本殿や東西の権殿は手前からは見えなかったが、特別参拝(400円)をお願いして、宮司さん自らの説明、お祓い付きで、中へ入れていただき、本殿・権殿の流れ造を拝ませていただいた。



また屋根に用いる桧皮(ひわだ)に、住所、氏名、「身体健全」とお願い事を書いて奉納させていただきました。
2000円でした。




2012/03/16

大原 寂光院(京都市左京区大原)「小原御幸・大原御幸」

明後日の吉浪壽晃能の会「屋島」弓流の
申し合わせの後、大原観光へ。
とっても有難い機会をいただいた吉浪さんに
感謝申し上げます。

四条河原町から京都バスに乗って、約45分。
川端通りから奥深く入ると、京都市内とはまったく違う景色に。八瀬を通り、少し開けた田園風景を楽しむうちに大原到着。

大原バスターミナルで降り、先ずは寂光院へ。
約1キロの道のりだが、途中から徐々に上り坂になる。山あいの農家の間を通る道は、とても有名な寺院へ向かう道とは思えない。




諸行無常の鐘楼

平成12年5月9日発生の火災により燃損した本堂を新しく建立した


能「大原御幸(おはらごこう)」のワキのサシ謡


かくて大原に御幸なって。
寂光院の有様を見渡せば。
露結ぶ庭の夏草茂りあいて。
青柳糸を乱しつゝ。
池の浮草波に揺られて。
錦をさらすかと疑がはる。
岸の山吹咲き乱れ八重。
立つ雲の絶え間より。
山時鳥(ほととぎす)の一声も。
君の御幸を待ち顔なり。

千年の姫小松(御神木)
本堂の火災により痛みが激しくなり、平成16年に枯死

汀の池


シテツレ法皇のサシ謡

法皇池の汀を叡覧あって。
池水に。汀の桜散り敷きて。
波の花こそ。盛りなりけれ。

四方正面の庭


寂光院は天台宗の尼寺で、山号は清香山、寺号を玉泉寺という。
推古2(594)年に、聖徳太子が御父用明天皇の菩提を弔うために建立された。

本尊は、聖徳太子作と伝えられる六万体地蔵尊(現在も重要文化財指定)であったが、平成12年発生の火災により損傷いたため、収蔵庫に安置することとし、現在は復元された本尊が、本堂に安置されている。

初代は聖徳太子の御乳人(めのと)であった
玉照姫で、その後、代々高貴な家門の姫君らが法燈を守り続けた。

第二代の阿波内侍(あわのないし・藤原信西の息女)は、崇徳天皇の寵愛をうけた女官であったが、出家後に入寺した。建礼門院に宮中より仕え、草生では大原女のモデルとされている。

第三代の建礼門院徳子(平清盛の息女、高倉天皇の皇后、安徳天皇の国母)は文治(1185)年に入寺し、源平の戦に破れて遠く壇ノ浦で滅亡した平家一門と、我が子安徳天皇の菩提を弔い、終生をこの地で過ごされ、閑居御所とされた。

本堂前西側の庭園は、平家物語当時のままで、心字池、千年の姫小松、苔むした石、汀の桜などがある。


私が想像していたよりは、かなり小さな庭園でした。
「大原御幸」のサシ謡は、あまり大きな声ではなく、静かに謡うべきかなと感じました。
返す返すも本堂などの焼失が
残念でなりません。




2012/03/14

2012/3/18  吉浪壽晃 能の会 「屋島」 弓流




3月18日 独立二十周年記念 
第十回 吉浪壽晃 能の会
「屋島」 弓流 奈須与市語 
京都観世会館 午後1時30分開演


今週末は久々に京都へ参ります。









私は「屋島」のワキで出演させていただきます。



吉浪さんは、芸大時代の僕の後輩に当たります。卒業後は京都へ戻られ、観世流井上家で修行をされ、この度独立20周年という節目を迎えられました。


平成12年3月19日 亡父 吉浪準一 十七回忌追善能にて「道成寺」をお披きになった時にも、ワキでお邪魔させていただいております。
吉浪さんには心より御礼申し上げると共に、お祝いの気持ちを込めて、良いワキを勤めたいと思います。


弓流(ゆみながし)の小書(こがき・特別演出)が付くと、演者もより高度な演技を要求されますし、装束も変わります。
演能前なので、あとは見てのお楽しみという事で!


吉浪さんはああ見えて(ごめんなさい)スポーツマンなんですよ。高校時代、バスケットボールのインターハイで全国ベスト8(4?16?)の時の写真を、僕は見せていただきました。
「道成寺」の時、あの切れ味、鋭さを見て、彼の運動神経を実感。今度の「屋島」でも十分発揮してくれると思います。
ちなみに間狂言は、野村萬斎さんです。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。





2012/03/11

あれから一年

今日は3月11日。
東日本大震災から一年。
我々日本人は、この辛い記憶を忘れることはできません。

私は宝生会月並能「高砂」。
犠牲になられた方への鎮魂になる曲ではないかもしれませんが、国土安穏、寿福千年を祈りながら、心を込めて勤めてまいりました。
2時46分は二番目の能「熊野(ゆや)」の間でしたが、楽屋で黙とうを捧げさせていただきました。

会としては演目の構成の都合上、2:46に黙とうを捧げることはできませんでしたが、最後の能「鞍馬天狗」終了後、お地謡だけが舞台に残り、「融(とおる)」の謡を捧げました。

復興はまだ始まったばかりです。我々能楽師も支援能を始め、あらゆる形でこれからもお手伝いをしてまいりたいと思います。

一日も早い復興に向けて、助け合いが大事です。
今一度日本人の団結力を結集しましょう。

2012/03/07

新高円寺 SOUL BAR 「JUKEBOX」



昨夜はLady Dayの八月薫子さん他と、新高円寺にあるSOUL BAR「JUKEBOX」へ。


マスターの安井信一郎。60年代からソウル系アーティストの来日公演 には、ほぼすべてに足を運び、伝説のアーティストたちのエピソードや人柄を語れるソウルの生き字引。
1ドル360円時代の71年に単身渡米して、デトロイト、ニューヨーク、ボストン、ワシントンDC、フィラデルフィア、シカゴ、メンフィ ス、ロサンゼルス、ニューオーリンズ&スライデルなどなど、文字通り全米を縦断横断 した。ソウルを生で聴くこと=黒人街のクラブへ行くこと、すなわち命がけのツアーであったことは 言うまでもない。
ソウルに人生を賭けた執念と熱意が、いま新高円寺JUKEBOXに結実している。
店内の音、空間、約10,000枚を優に超える安井氏のコレクション中から選りすぐりの約2,000枚のLP、約500枚のCDはもちろんのこと、 安井信一郎からしか聞くことができないアーティストたちとの交流や思い出話が最高なのである。
店名にもなっている『JUKEBOX』。ベスト盤を中心にソウル約7,000曲のCDが納められたジュークボックス・システムが目玉。ここになければ他にはない!マニアを唸らせる1曲が分かり易くリストアップされ、1曲100円で好きなだけ選曲して聴けます。
その昔、マスターの安井信一郎が足繁く通い続けた六本木GEORGE’Sで、かけまくり、聴きまくったシングル盤(ドーナッツ状のEP盤)が入ったジュークボックスがこの店の由来で、ジュークボックスのシステムをCDの時代に新しい形で残しておきたいという安井オーナーの熱望により『JUKEBOX』は生まれたのである。


以上お店のHPより抜粋。
http://www.e-jukebox.jp/aboutus.htm


店内はSoulやR&Bのアーティストの写真やLPジャケットのデザインが整然と壁一面に飾られ、とても清潔感がある。ミュージシャン直筆サイン入りのLPも数知れず。
その中にThe Wailers 「Catch A Fire」の初回盤LPにボブ・マーリーのサインを発見。
このLPをご存じの方はいっぱいいらっしゃるとは思いますが、LPジャケットがZIPPO型の特殊ジャケットになっているBob Marley &The WailersのデビューLPです。
しかし初回盤に限りBob Marleyの文字はなく、The Wailers名義になっていると以前から聞いていたので、それを見つけた僕は二度ビックリ!
それを安井さんに言うと、「よく気付いたね~」と喜んでくれて、それからは安井さんお気に入りのSOUL ナンバーを次々と聴かせてくれました。




あとで八月さんから「安井さんは普段はあんなにLPをかけてくれないのよ」って
言われて余計にうれしくなりました。かけていただいた中で印象的だったのは、The Temps,Stevie Wonder,Smokey RobinsonなどがThe Beatlesをカバーした曲を集めた、安井さん編集の自作CD.。
かっこ良すぎでした。

時間の経つのを忘れるお店です。もっともっと安井さんのお話しを聞きたくなります。
昼間は喫茶をやってるらしいので、時間がある時にまた是非行ってみたいです。


2012/03/04

2012/3/4 粟谷能の会 「景清」「砧」



今日は国立能楽堂にて粟谷能の会
能「景清」狂言「因幡堂」能「砧」。
客席は満席。私は「砧」のワキ、芦屋の何某(なにがし)でお邪魔いたしました。



ワキ方の私がおシテの事を語るのは僭越ですが、感じた事を書いてみたいと思います。
どうかお許し下さいませ。


「景清」
「景清」は能の分類でいうと現在物になりますから、型通りにやるだけではなくて、お芝居としてお客様に見せる演技が要求される、難易度の高い曲ですね。私は喜多流の「景清」と言えば、明生さんの御尊父の菊生先生の「景清」の印象が強い。明生さんも当然意識はされたことと存じますが、今日の「景清」は、能一曲を構成、演出に至るまで、よく考えて演じられる明生さんの、渾身の演技だったと思います。また近い将来、年齢を重ねて演じられるであろう舞台を是非拝見したいと思います。
またご長男の尚生さんのシテツレ。ワキツレとの連吟も堂々とされて、ご成長を実感致しました。


「砧」
常の喜多流の演能で、ワキを下掛宝生流がやると、ワキが自分が誰か名乗る場面がなくなってしまうので、今日は冒頭の部分に、ワキの名乗りとシテツレの問答を加える形で演じられ、後シテの出も、通常喜多流にはない「梓之出」。小鼓がノットという手を打ち、梓(あずさ)という弓の音を表し、その音に引かれてシテが出てくる演出でした。

「砧」のワキは、出番が他流でも始めと最後しかないので、比較的楽な曲と思われるかもしれませんが、とんでもないんです。失意の内に亡くなった妻を弔う場面の謡の難しさ。また始めの名乗りやシテツレに使いを云い付ける所も、すべてにおいて貫録がなければいけませんので、若い間はほとんどお役を頂けません。私は今回で六回目ですが、未だに緊張する役です。その都度自分に課題を与えて勤めておりますが、まだまだです。
「景清」のおシテに演者の年齢や芸の成熟度が表れるのと同じことが、「砧」のワキにも言えますね。
本当に難曲です。


役を演ずる回数が増すにつれて問題点が見えてくる。能は一生修行といいますが、その通りですね。マンネリと慢心は禁物です。