2014/03/26

オーケストラ・アンサンブル金沢 第30回東京定期公演 ~サントリーホール



昨日関東にいる高校の同級生7人とサントリーホールへオーケストラ アンサンブル金沢の
第30回東京定期公演を聴きに行ってきました。

東京のホールでのクラシックコンサートは、一体いつ以来だろうか。
おそらく20年以上ぶりか。


オーケストラ・アンサンブル金沢は、1988年、石川県と金沢市が中心となり設立。
財団法人 石川県音楽文化振興事業団を運営母体とし、2001年からは、石川県立音楽堂を本拠地として、定期演奏会を行う。東京でも年2回。
常設のプロフェッショナル室内管弦楽団としては、日本で最初の存在。
初代音楽監督は岩城宏之、今は井上道義。
通称は「アンサンブル金沢」、略号は英語名 Orchestra Ensemble Kanazawa の3文字を取って 「OEK」であるが、「アンカナ」と呼ぶ人もいる。



メインはベートーベンの交響曲第5番「運命」
サントリーホールの広さ、30数名の規模を考えると、「運命」はどうなんだろうという危惧があったが、まったく心配なし。


ステージ左側の2階席だったが、さすがサントリーホール。
音の抜けが素晴らしく、バイオリンのピチカートの音まで鮮明に聞こえる。
また少人数ゆえに、ソロパートのメロディーが聴き取りやすい。
TVではこうはいきません。やっぱり芸術はLIVEじゃなきゃ本物は味わえませんね。
とにかく感動しました。
アンコール曲はベートーベン交響曲第8番の第2楽章でした。


一昨年の新作能「ショパン~調律師」を国立能楽堂で上演し、その打上げの時に、今回の指揮の井上道義さんとゆっくりお話しさせていただく機会を得ましたが、その時よりは大分スリムになられてる感じでした。




終演後、同級生たちと、ホール向かいのイタリアンで打ち上げ。
皆社会人なので、1時間半ほどの会食でしたが、本当に楽しかったです。


今度は大好きな マーラー交響曲第1番「巨人」をこのホールで聴いてみたい!
それも第4楽章ラスト2分30秒が感情豊かなやつをね。

2014/03/21

2014/4/6 北國宝生能「鉢木」「通小町」



北陸の方へ能公演のお知らせです。

4月6日(日)  北國宝生能  於 石川県立能楽堂

北國新聞主催。
今回は2部制。各部の鑑賞料は 6000円。
両方御覧になりたい方は、お得な個人会員(1万円)での御鑑賞をお奨めします。


私は1部「鉢木(はちのき)」のワキ、最明寺時頼役で出演します。

「もてなしの心・食文化」と題を付けてはいますが、「鉢木」の主題は、主を思う従者の固い
「忠誠心」です。

「鉢木」のあらすじもブログにUPしましたので、どうぞ御覧くださいませ。




冬の名曲です。
4月は金沢でも桜が咲き始めていることでしょう。
11時始めの第1部を御覧になって、その後お花見というコースは如何でしょうか。


皆様の御高覧をお待ち申し上げます。


北國新聞イベントガイド


  


鉢木

シテ    佐野常世
シテツレ 常世の妻
前ワキ  旅の僧
後ワキ  最明寺時頼
ワキツレ 侍臣(二階堂)
オモアイ 下人
アドアイ  早打


あらすじ
 全国を行脚する僧(ワキ 実は最明寺時頼)は、信濃にいたが、雪が深くなったため、鎌倉に行き、春になってから又修行の旅に出ようと佐野に到着した。

すると小降りになっていた雪が、また激しく降り出したので、宿を求めることにして、ある家に声をかける。しかし主人が留守のため、僧は軒先で待つ。

しばらくすると家の主人(シテ 佐野常世)が帰宅し、一旦は宿を断る。

山本の里を目指した僧の姿を追い、常世は家に案内する。
 こうして僧は常世の家に一泊することとなった。

妻は「何もありませんが、粟飯を召し上がってください」と僧に勧める。
僧は「邯鄲(かんたん)」の盧生(ろせい)の「一睡の夢」を思い出しながらいただく。

常世は僧の暖のために、秘蔵の梅、桜、松の盆栽(鉢木)を切って薪にしてもてなす。

僧が感謝して主人の名を聞くと、佐野源左衛門常世で、一族の者に横領されて、このように落ちぶれた生活をしている。
主である最明寺殿でさえ修行に出られているが(勿論僧が最明寺であることは知るはずもない)、いかに落ちぶれたとはいえ、いざ鎌倉という時は、ここにある武具、長刀、あそこに痩せてはいるが馬もいるから、一番に馳せ参じます、と僧に言う。

こうして僧は名残を惜しみながら、一宿の礼を残して鎌倉へ帰ったのだった。

中入り

鎌倉である。
いざ戦(いくさ)という事で、全国の兵に出兵命令が出た。

最明寺時頼は侍臣(二階堂)に「軍勢の中に、ぼろぼろの武具を着て、錆びた長刀を持ち、痩せた馬に乗った武者が一騎あるはずだから、連れてまいれ」と命じる。

下人(アイ)が見つけられて、常世は御前に出ると、呼び出した殿は、いつぞやの大雪の晩、常世の家に泊まった僧であった。

その時に常世が言った「いざ鎌倉の時は、一番に馳せ参じる」というのが真かと召集したのだ、と最明寺は言い、その通りであった常世に本来の土地などを返したうえ、雪の夜にもてなされた鉢の木にちなんで、加賀の梅田、越中の桜井、上野(こうずけ)の松井田の三つの庄を与えたのだった。


固い「忠誠心」「主を思う従者」の物語である。
「いざ鎌倉」の言葉は、本曲が出典らしい。


2014/03/20

2014年4月の主な出演スケジュール


6日(日) 北國宝生能 鉢木 石川県立能楽堂 11:00~





9日(水) 国立定例公演 屋島 国立能楽堂 13:00~





13日(日) 金沢能楽会定例能 桜川 石川県立能楽堂 13:00~





19日(土) 玉扇慶祥会 二人静 横浜能楽堂





20日(日) 九皐会別会 安宅 国立能楽堂 13:00~





26日(土) 銕仙会能楽研修所 朝長 銕仙会能楽研修所 14:00~

30周年記念公演







27日(日) 銕仙会能楽研修所 俊寛 銕仙会能楽研修所 14:00~

30周年記念公演













詳細はブログ右の能楽堂



バナーから御覧下さい


2014/03/11

練馬区立 田柄梅林公園




今日は3月11日。もうあの日から3年です。

能は祈りと鎮魂の芸能。
日々の舞台、心を込めて勤めてまいります。



今日は珍しく早朝より暗記をしながら散歩。

自宅から徒歩5分の田柄梅林公園に寄りました。



春の香りに癒されます。

今年の寒さを表してるのが、まだ咲き始め。
この分だと、練馬北西部の桜は、まだまだ先のようです。








2014/03/10

異流共演

   
観阿弥生誕680年、世阿弥生誕650年を記念して
観世会が企画した異流共演の公演 能「大原御幸(おはらごこう)」

シテツレ法皇に金剛流宗家 金剛永謹師をお迎えした配役。

私は番組には載っておりませんが、ワキツレ大臣役でした。



異流共演は、すべての曲で可能なわけではありませんが、曲の芸術性を高める意味において必要ならば、もっとあってもいいのかもしれません。

もちろん国立能楽堂の公演やいろんな所で、既に行われています。
流儀のトップ、代表者だけではなく、実力を蓄えた能楽師ならば誰でもできるような寛容さが大切と感じます。
但し能楽の秩序はしっかり守らなければいけません。ただ闇雲に共演するだけでなく、能楽師個人個人が慎重に検討し、各流儀の御宗家が許可するシステムも大切です。


異流共演によって、能楽ファンが芸術的、文学的な能の魅力を再発見されるような企画が増えてくることを望みます。
 

2014/03/03

湿潤療法 夏井睦医師

先週うっかり左足首内側に軽度の火傷を負ってしまい、練馬光が丘病院内の
「傷の治療センター」の夏井睦(まこと)先生の治療を受けた。

治療といっても(失礼)火傷の際に剥がれかけた薄皮をきれいに剥がし、プラスモイストというシート?を患部に当て、その上から液体吸収シートを貼り、軽く固定するというもの。

これは火傷に限らず、擦り傷にも対応する湿潤(うるおい)療法といって、夏井先生が始められた新しい治療法だそうです。


湿潤療法

① 消毒はしない

② 傷口は乾かさない

③ 痛くなければお風呂もシャワーもOK


正直これには驚きました。


今まで擦り傷では、まず患部をエタノールやオキシドールなどで消毒し、ガーゼを貼る。体液や膿などが出ている場合は、傷ドライなどで表面を乾かすなどして対処していたが、この療法はまるで正反対。
通常プラスモイストというシートを家庭で常備していることはないので、その時は傷口を水道水で洗い流し、ラップの上に白色ワセリンをぬり(ワセリンなんてボクサーじゃあるまいし一般家庭にはあるはずもないが・・・)傷に当て、テープなどで密封する。
小さい傷ならば、市販のBAND-AIDやキズパワーパッドを貼る。


消毒をすると、皮膚を作る細胞までもが死んでしまうそうで、厳禁!
表面を乾燥させると瘡蓋(かさぶた)が出来てしまい、傷を治す細胞の働きを邪魔し、悪い菌を助けることになってしまうので、たとえ傷口がグチョグチョでもそのままにして、自然治癒力を高めるという治療だそうです。


実際先生の過去の患者さんの傷の治り具合を写真で見せていただいたが、傷痕がほとんど分からない状態までに完治していました。

能楽師にとって足は命。先生に診ていただき安心です。



夏井先生のHP
http://www.wound-treatment.jp/




患部に貼っている「プラスモイスト」というシートの特許も、先生がお持ちだそうです。

先生はお話しもとても楽しく、実に親しみやすい方でした。
先生がふと「僕は実はこういう本も出しているんですよ」と教えて下さった本。



「炭水化物が人類を滅ぼす」 ~糖質制限からみた生命の科学



つまり炭水化物と砂糖類を食べないと、多くの人が確実に痩せられる。
これは近年あちこちで体験している知人もおり、興味はあったのだが、糖質制限には害があると唱える方もいて、あまり実行する気になれなかった。
しかし先生は半年で11キロ痩せられ、世間が言う害などはまったく感じられない。

大体もし先生に炭水化物不足による能力の低下が起これば、医師という職種に支障がでる筈。



「〆のラーメンは勿論ダメですが、お鍋の後の雑炊などの炭水化物を止めると、絶対二日酔いしませんよ」
「私は自分だけが痩せてればいいんですよ」


この二言に俄然興味を持ち、すぐ近所の本屋へ行って購入した。

未だ完読はしていないが、単なるダイエット法の本ではなく、食生活の変化から人類文明発祥の秘密、しいては哺乳類誕生の秘密にまで迫るという大変面白く、興味深い本である。

先生の糖質の拒絶度はかなり高いのだが、お酒は召し上がってるそうなので、私もやってみようかなと思い始めています。

すでに大ベストセラー。
ダイエットに興味のない方にも、この本はお奨めします。