2013/07/30

2013/7/28 スーパー能「世阿弥」 ~新潟


ポスターデザインは横尾忠則 
 

この公演は、4月19,20日に国立能楽堂開場30周年記念の
特別企画公演として催されたものを、国立能楽堂が公益財団法人
新潟市芸術文化振興財団に委託し、
りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館能楽堂の開館15周年記念公演として催されたものです。
 
地方公演は大阪、赤穂、碧南、新潟、奈良大淀町の5か所。
私は越智維通(おちこれみち)役を、メインアクトの宝生欣哉氏の代役として、新潟、大淀町の2か所で勤めます。
 
 
この企画はすでにNHKにて特集番組で紹介されておりますが、
世阿弥生誕650年を記念し、梅原猛氏が新たに書き下ろした
スーパー能「世阿弥」が上演されました。
 
あらすじは2枚目の写真をクリック、拡大してお読みください。
 
室町時代の能の大成者・世阿弥の息子、観世元雅(もとまさ)の死は
現在も謎に包まれています。この謎の悲劇に新解釈を誕生させ、親子の情愛、芸術と政治、能の未来への希望を、現代の人へ分かり易い言葉でおくるものです。
 
 
初演を私も楽屋から拝見しておりましたが、今回の新潟公演のキャストの中で初めてやるのは私だけ。しかも申し合わせ無しの場当たりだけという厳しい条件での参加でしたが、なんとか勤められました(安堵)。現代語のセリフには不慣れで、久々にかなり緊張しました(笑)
 
 
この新潟りゅーとぴあ能楽堂では、舞台後ろの鏡板と橋掛り後ろの板を外すと、能楽堂中庭の竹林が現れ、世阿弥と殺された元雅が対話する場面では、舞台照明を消し、逆光を利用してシックス・センスを表現するという試みがされました。
これには私も驚きました。こんな事ができるんですねえ。
 
 
この企画に参加させていただいている以上、作品の感想を申し上げる立場ではございません。
皆様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
 






 
 

2013/07/23

装束の虫干し

 

今年も宗家の装束の虫干しが始まりました。
実際は昨日からですが・・・(笑)


この時期に衣類を干すことを、土用干しと言うそうです。
梅雨時に湿気を含んでしまった装束を放っておくと、カビが生えてしまったり、虫食いになってしまうことがあります。
 
能装束も着物などと同じで、たとう紙の中に入れておりますが、物によっては、1年間全く使わなかったり、1年で100回以上使うものもあります。
傷んだ装束の修繕は勿論、たとう紙の修繕もやります。
虫干しは絶対外せない年中行事です。

古い能装束は貴重ですし、新調すれば大変高価です。
大先輩の思いや汗が沁み込んだ装束は、我々能楽師にとって、とても大事な物。命といっても過言ではありません。
 
 

けっして屋外で天日干しをするわけではありません。
陰干しで、風を通して息を吸わせると云います。

能装束は麻物を除けば、ほとんどが絹です。
カイコが桑の葉を食べて繭を作る絹糸は、人体に近いタンパク質なので、人肌と親和性が高いと聞いています。現代では科学的に解明されておりますが、昔からシルクが珍重されるのは、そうした事もあるのかもしれません。

しかし近年に新調した能装束は、滑らかさが足らず、耐久性も弱いと感じます。
技術が落ちたと決めつけるわけにはいきませんが、糸の質も落ちているのかもしれません。
究極カイコが食べる桑の葉まで昔と違うのでしょう。

能楽師も頑張らなければなりませんが、舞台裏の技術の保存にも、国はもっと目を向けていただきたいです。



最後にお昼、干している間にいただいた ソーキそばとスパムおにぎり。

 
 
 
 
 
 

2013/07/17

2013/7/14 松山喜多流能

 




道後温泉 大和屋本店 能舞台「千寿殿」にての演能会。
 
前日入りし、ゆっくり休んで当日を迎える。
東京の猛暑ほどではないものの、33℃。
しかもこの舞台は屋外なので、演者にとっては辛い舞台です。
かなりの暑さで装束に通るほどの大汗を掻いてしまいました。
 
「正尊」はまさに大曲。「源氏供養」は大曲ではないものの、セリフも多く、かなり気を使う曲。
この炎天下、まったく省略なく無事に勤めるおシテのモチベーションの高さは見事です。
 
 
ここ大和屋さんは、昨年10月の文化庁派遣事業(鎌倉能舞台の皆さんと)の時、お世話になって以来でした。
その時のブログもありますので、ご覧下さいませ。素晴らしいお宿です。

開演前に舞台の上で結婚式がありました。

 
 
 
終演後、空港チェックインまでの時間、松山市内のビアホール「ミュンヘン」にて喉を潤す。
 
 
写真はありませんが、いっしょに食べたフライドチキンが抜群。
衣も薄く、実にカラっと揚がっていて、素手で持つ手までサラサラ。
これを食べたら、もうケンタッキーなんて食べられません。
 
席が空くのを待っているお客様や、チキンのテイクアウトをするお客様で、入口がいっぱいなのも納得です。とにかく美味!
 
金子先生、敬一郎様、有難うございました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 

2013/07/12

2013年8月の主な出演スケジュール

3日(土) 観能の夕べ 紅葉狩 石川県立能楽堂 18:30~
特別公演
4日(日) 観世会 松風 観世能楽堂 11:00~
8日(木) 能と邦楽のススメ 土蜘蛛 観世能楽堂 13:00~
若い人たちへ!
9日(金) さわってみよう 黒塚 国立能楽堂 10:30~
能の世界 2階研修能舞台 14:00~
10日(土) 川崎市定期能 黒塚 川崎能楽堂 15:30~
15日(木) 相模薪能 絵馬 寒川神社 17:00~
20日(火) 能楽協会 レクチャー 高砂(半能) 梅若能楽学院 14:00~
22日(木) 国立企画公演 邯鄲★ 国立能楽堂 17:00~
働く貴方に贈る
28日(水) 能楽座自主公演 雲雀山☆ 国立能楽堂 14:30~
29日(木) 渋川能 藤戸 渋川市民会館 13:30~
31日(土) 観能の夕べ 野守 石川県立能楽堂 18:30~
★はワキツレ
☆は仕舞地謡 舞 宝生閑
詳しくはブログ右の会場能楽堂をクリックして検索
空欄は分かり次第記入します

2013/07/09

猛暑 落雷 停電 そして避難

梅雨明けしてから今日で4日連続の猛暑日。
朝起きてまもなくの30℃超え。7月では前例がないそうです。

昨日我が家のある練馬区(夏には悪名高い)では、午後3時過ぎから遠くでゴロゴロ云いだし、午後5時頃から急に雷鳴轟き、10分後くらいに、いきなりドカン! これは近くに落ちたなと思うほどの地響きを感じて間もなく、1回目の停電。

これは約10分で復旧。しかし次の落雷とともに、2回目の停電。
ここは東京23区内。山間部の鉄塔が倒れたわけではあるまいし、直に復旧するだろうと思っても、一向に電気が来ない。
現代生活、いかに電気に依存してるかを痛感。
まだ夕方で明るかったからよかったものの、我が家には蠟燭は無し。
なんにも出来ません。
その内部屋の中が蒸し暑くなりだし、どこかに避難を決め込む。

しかしここから豪雨が始まり、自宅に軟禁。

近所の飲み仲間と連絡が取れ、近所の鉄板焼き屋へ避難の約束。



この「なる味」さんは度々このブログでもご紹介しておりますが、お好み焼きやもんじゃなどの鉄板物が美味しいのですが、実は七輪で焼くお肉が近隣では一番!
焼肉は控えているのですが、この猛暑、たまにはいいでしょう(笑)


結局停電は近所で配電盤の故障らしく、午後5時10分くらいから7時09分までの約2時間。
10時過ぎに帰宅すると何事もなかったかのようでしたが、地震を含めて、災害対策をしっかり考えさせられました。


今日は今のところ静かなので大丈夫だろうと思っていると、テレビの速報で、埼玉、千葉、茨城に竜巻注意報!
浅草の「ほうずき市」へお出かけの方は、どうぞ熱中症にお気を付け下さいませ。


そうそう、「ほうずき市」で想い出しました。
浅草寺ではこの時期だけ出される 「雷除御守護」。
昔は避雷針もなかったでしょうし、今よりもっと恐れられていたんでしょうね。
天神様がお怒りなのでしょうか。







2013/07/08

梅雨明け ~ほろ酔処 佐藤

6日に関東は梅雨明け宣言。
以後連日の猛暑です。
平年より15日、昨年より19日も早いそうです。

今年の夏は、7月後半に予定していたフランスでのワークショップ公演が中止されたこともあり、いつもより舞台数は少ないようですが、それでも装束の虫干しという恒例の仕事があります。
熱中症に気を付け、なんとか乗り切りたいですね。

今日8日は休みなので、昨夜は久々に日本酒を堪能しました。


ほろ酔処 佐藤
http://aurora312.blog55.fc2.com/

月1回くらいペースでお邪魔しております。
普通では飲めない日本酒をグラスで飲ませてもらえるお店です。
カウンター8席ぐらいのバーですが、マスターとのお話しも楽しく、毎回楽しい一時を過ごさせていただいております。
 


残念ながら酔ってるせいか、ピンボケの写真が多く、写ってない酒
「十四代・酒未来」 上の写真の「七垂二十貫」
思わず唸ってしまいました。

 

 

2013/07/01

2013/6/29 「ジャンヌ・ダルク」 ~熊本






28日金曜日は国立能楽堂にて学生鑑賞能。
そのまま羽田へ行き、いざ熊本へ。
夜9時過ぎに空港着。そのままタクシーで市内の洋食の店「橋本」にて夕食をいただき、12時前にホテル・キャッスルにチェックイン。
「橋本」さんはポークソテーや〆のカレーが最高。ホテルの部屋はかなり広く、ベッドもダブルで快適でした。
29日10時より、まず熊本県立第一高等学校の学生鑑賞能「羽衣」
午後2時からいよいよ「ジャンヌ・ダルク ~JEANNE D'ARC」です。
この創作能「ジャンヌ・ダルク」は、昨年、ジャンヌダルク生誕600年を記念し、フランスで上演されたもので、この公演は、今回この曲の演出・作曲をされた狩野琇鵬先生の母校である県立第一高校の創立110周年記念公演として、同校のOBOGの同窓会(清香会)が企画されたものです。企業など協賛を一切取らず、清香会だけでの運営には頭が下がります。

フランス公演では、旅人役を山本東次郎先生、所の者役は現地フランス人の方がフランス語で一人立ちしゃべりで行なったそうですが、今回は熊本での公演ですので、山本先生が所の者に回り、私が新たに旅人としてお邪魔しました。


曲のあらすじは、4つ目の写真の解説部分を拡大してお読みくださいませ。
「ジャンヌ・ダルク」と聞くと、いかにも突飛な感じを受けるかもしれませんが、いたって普通の夢幻能。
面だけは新調されたそうですが(ジャンヌと名付けられてるそうです)、装束は常の能で用いるものを使います。
その意味ではワキとしての旅人役も比較的やり易い演出でした。曲としても実によくできた演出で、驚きました。
能本の作成は法政大学名誉教授の西野春雄先生、作曲・演出に狩野先生と山本東次郎先生。

多少ワキ方らしく変えてやったつもりですが、ほとんど他にやりようがないくらい完成されていて、あとはセリフを覚えるだけという感じでした。



上の写真は巡礼の旅人役の私が右手に持ったロザリオ。
決してこれで調伏するわけではありませんよ(笑)

前シテ・ジャンヌの母の琇鵬先生は、これ以上ないほどの存在感。
後シテ・ジャンヌはご子息の了一師。女性でありながら勇猛かつ気高いジャンヌを見事に演じられました。

特に感服したのは、山本先生の所の者のアイ語り。
ジャンヌの生涯がすべて解るほどの長文の語りをご自分で作られ、それを完璧に語られました。もう先生の頭の中にはSDカードが入ってるんじゃないかと思うほどです。



終演後、ホテル・キャッスルにて懇親会。
西野先生、副校長、県の教育長など、いろんな方々とお話しさせていただきました。
なんとあの河鍋暁斎の曾孫に当たられ、暁斎美術館の館長の楠美様にもお会いでき感激。「今度金沢へ行ってきますよ」とおっしゃってられました。

場所を市内老舗料亭「松葉」に移して夕食。
お料理・お酒とも大変美味しく頂戴いたしました。

日曜日の熊本日日新聞に記事が載っておりましたんで、UPしておきます。



最後になりましたが、狩野先生、本当に有難うございました。

企画・運営をなさった関係者の皆様、大変お疲れ様でした。

心より御礼申し上げます。