2012/09/02

宝生紫雪追善能 「道成寺」満員御礼



本日の金沢能楽会別会能は「宝生紫雪百五十回忌追善能」として行われました。

一部の能は「安宅」、二部は「道成寺」

別会能は定例能より入場料が高額なのですが、一部の入りは約8割、二部は完売。
歌舞伎などとは違って大入り袋は出ませんが、お越しになったお客様には、心より御礼申し上げます。




会場入り口の左の展示コーナーには、我が家で代々大切にしております
「宝生紫雪 鉢の木 能画掛け軸」が掛っておりましたが、御覧いただけましたでしょうか。




金沢能楽会の別会を二部制にするのは初めての試みでしたが、「安宅」「道成寺」とも人気曲、特に「道成寺」のおシテは宝生流現宗家和英氏ということもあり、あれだけのお客様に御覧いただけたということを考えますと、一応会としては成り立ったのではないでしょうか。




一部に能・狂言1番ずつ(他に舞囃子、仕舞等もありますが)でA席が1万円というのは高いと思われる方がいらっしゃるとは思います。しかし「安宅」は出演者が多いですし、その為には東京よりの助演をいつもより多く頼まねばなりません。当然、交通宿泊費、出演料を支払う必要が出てきます。シテツレの同山があれだけ出るわけですから、装束にかかる費用のまた然りです。
また「道成寺」は能の最高秘曲のうちの一曲ですから、各役に習い料という特別料金が発生してきます。
どうかご理解の程、お願い申し上げます。




この番組を一部制にして料金を2万円にすると、お客様の負担が多くなり過ぎますし、時間も長すぎるというクレームが来る可能性もあります。




各部1万円の二部制にして、はたして切符が売れるのだろうか、という懸念は確かにありました。しかし一部、二部を通しで御覧になった方もかなりいらっしゃいましたし、これだけのお客様がいらっしゃったというのは、さすが金沢。日本の他の都市に比べて、能楽人口が格段に多い土地柄。これは加賀前田のお殿様、また江戸時代より金沢で能楽の普及につとめてきた諸先生、諸先輩のおかげです。




我々、今の能楽師は、それに甘えることなく、各自が芸を磨き、より良い舞台をお客様にお見せする努力を怠ってはいけません。
今日はそれを痛感しました。




時代的にも謡や仕舞を習う人は減るばかりですし、能楽師もレッスンプロでは通用しない時がもう目の前にきています。いやいやレッスンプロはいらないと言ってるわけではありません。舞台で演じる楽師とお素人に教える楽師の区別をもっと厳格に分ける必要性も考えなければいけないような気がします。しかし教わる方は芸のうまい先生に習いたいという気持ちがあるでしょうし、忙しい楽師は意欲、体力、時間との闘いになります。本当に難しい問題ですね。



ヨーロッパでオペラがあれだけ国民に愛されるように、日本人が日本人の心を素直に表現する能楽という芸能を愛していただけるように、私個人の芸の向上は勿論、普及にも努めてまいりたいと思います。







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