2020/04/20

能楽Q&A ② 四苦八苦とは?

四苦八苦とは?

仏教の開祖であるゴータマ・シッダッタ(釈迦)は、人生の苦しみを直視して、自らの思うままにならぬ物、事の満ちあふれている様を付き止め、それをと呼んだ。
それは自己の外部だけでなくて、自己の内部にもあり、究極は人間の有限性とそれから発する自己矛盾とに由来する。

その苦を分析すると、(しょう・生まれる)・の4つが最大であり(四苦)、
ついで、

親愛な者と別れるつらさ。親子・夫婦など、愛する人と生別または死別する苦痛や悲しみ「愛別離苦(あいべつりく)」
怨み憎むものと出会わなければならない「怨憎会苦(おんぞうえく)」
求めているものが得られない苦しみ。不老不死を求めても得られない苦しみのこと。また、物質的な欲望が満たされない苦しみのこと「求不得苦(ぐふとくく)」
いっさいは苦に満ちている。人の体と心を構成している五つの要素から生まれる苦しみ五蘊盛苦(ごうんじょうく)」
 
 の4つがあげられて、あわせて八苦とされる。


 「五蘊」は人の体と精神を構成する五つの要素のこと。
全ての物質をいう「色」、感覚をいう「受」、心の中に浮かぶ像をいう「想」、欲求をいう「行」、意識をいう「識」の五つ。



これらは避けようとしても避けられず、むしろそれら苦のありのままをそのまま知り、体験を深めることによって、それからの超越、すなわち解脱(げだつ)を釈迦および仏教は説く。

のちにこの四苦八苦の語は広く日常化されて、とくに激しい苦を指して言うようになっている。




能「求塚」の後場、ワキ僧がシテの兎名日処女(ウナイオトメ)の亡霊の地獄の苦しみを救済するため経を手向ける時に謡う詞章に


種々諸悪趣 地獄鬼畜生 生老病死苦 以漸悉令滅


しゅじゅしょあくしゅ じごくきちくしょう しょうろうびょうしく いぜんしっりょうめつ

現代語訳:様々な苦しみの世界。地獄、餓鬼、畜生の世界。生老病死の四苦。ことごとく消滅する





大乗妙典観世音菩薩普門本偈(だいじょうみょうてん かんぜおんぼさつ ふもんぼんげ)
の一説です。



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