2022/04/15

2022/4/13 女性能楽師による能楽公演事業

一昨日は金沢での舞台。

女性能楽師による能楽公演事業

  第5回 能における節供と花々 



私は能「高砂」のワキでした。女性以外の演者は、ワキ、アイ、大鼓だけ。東京では時々女流主催の公演はありますが、金沢ではこの公演の主催者で沢鏡会代表の松田若子師が始められたのが最初です。

今回の公演もシテの柏山師を始め、皆さん長年研鑽を積まれ、しっかりした技術をお持ちの方々ですから、見どころの多い催しだったと思います。

能の所作は男性の役はもちろん、女性の役を男性が演じたとしても美しく見えるように出来ているので、同じように女性がやると、そもそも無理が出て来るのかもしれません。しかしながら能装束や能面はジェンダーの区別なく、その曲に副った具象を表現できるので、たとえ高砂の翁の役を女性が演じたとしても問題はありません。但し謡の謡い方は、男性が謡う感じを真似すぎると、違和感で出てくるように私は感じます。これ以上のことは言いにくい所ではありますが、老人の役であっても女性本来のキーで謡った方がいいのではないかと私は思っています。逆に私たちワキ方は、女性相手の時は謡い方を変えています。


節供(せっく)。

最近は節句と書くのをよく見ます。本来の節供に統一していただきたいものです。

節供とは短く言えば、祝いを行う節日(せちにち)に、供御(ぐご・飲食物)を奉るのを例としている名称です。

特別な飲食物を供えて、神々や祖先の霊を祀り、それを人々も分け合って食べることによって、神霊と人々相互の間に見えない一体感を得ようとしたのでしょう。

供花としては、仏式の樒(しきみ)、神式の榊。仏に供える閼伽(あか)の水。もちろんお花も供えます。能の物語りの進行にも、欠かせないものです。

これら日本古来の習慣を思いながら、能をご覧いただくのも鑑賞の仕方の一つでしょう。


昨日の北國新聞に記事が載っておりました。ご後援誠にありがとうございます。能楽界の一員として感謝致します。

神主役が私です。






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