令和元年6月23日(日)に催されました喜多流自主公演は、岩船、杜若、熊坂という番組でした。
杜若と熊坂のワキが両方し下掛宝生流で勤めますと、道行の謡がほとんど似てしまうので、当流では「杜若」の方を替えで謡います。
ちなみに杜若の常の道行は
「夕べ夕べの仮枕。宿はあまたに変われども。同じ浮き寝の美濃尾張。三河の国に着きにけり」
熊坂の道行は
「夕べ夕べの仮枕。宿はあまたに変われども。同じ浮き寝の美濃の国。青野が原に着きにけり」
似てますよね!
そこで杜若の道行をこのように変えます。
「短夜(みじかよ)の月の都を立ち出でて。逢坂越えて湖の瀬田の長橋うち渡り。野路篠原の草枕。知らぬは人の美濃尾張。三河の国に着きにけり」
「美濃尾張」と「身の終わり」をかけています。
ちょっと素敵でしょ。
福王流は杜若に替えはなく、熊坂をかえるようです。
尚当日は主催者側からの要望もあり、常の着流し僧姿ではなく、素襖上下の旅人姿で勤めました。出で立ちが変わるとセリフも若干変えるところが出てきます。お気づきでしたか?
写真の撮影は能楽写真家協会会員の山口宏子氏。シテは香川靖嗣師です。
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