2015/02/15

2015/2/13 銕仙会「大会」



一昨日の金曜日は銕仙会。
私は能「大会(だいえ)」のワキ(比叡山の僧正)を勤めてまいりました。


この日の「大会」は、常の演出とは違い、より分かりやすくするために、新劇を加え、間狂言も改定が行われている。


能「大会」の本説は『十訓抄』巻一に収められた説話で、その冒頭には東北院の北の大路で童部五六人が古鳶を打ちさいなんでいる時、僧が助けるという部分が記されているそうです。

ところがこの能の作者は、これを観客の知識に委ねて、シテが命を助けられた事情については「都東北院のあたりにての御事なり。定めて思し召し合わすべし」と述べるに留めている。

よって、シテ報恩の理由は能の部分を見ただけでは判明せず、中入り時の間狂言によって初めてそれを知ることになっている。


新しく加えられている冒頭の新劇は、以下の内容。

「都東北院の北にある柿の木に光り物が出たという。そこへ源の光右大臣が向かったと聞きつけ、二人の京童が駆けつける。右大臣ににらみつけられ、木から落ちた光り物を京童が捕えると、それは大きな古鳶であった。鳶を打擲(ちょうちゃく)する二人を見つけた比叡山の僧正が、扇や数珠と引き換えに鳶を放させると、鳶は嬉しそうに愛宕山へと飛び去っていった」


この部分は、もう30年近く前に初演されて以来好評で、以後改訂を重ね、何度も演じられているもので、私は2回目。


中入りの間狂言も替間(かえあい)で、木葉天狗がコミカルな談合の末、釈迦の説法(大会)の場面に、賓頭廬(びんずる)の姿になって加わるというもの。

大会の場面も、より華やかになり、僧が尊いと思って信心を起こしてしまうのもうなずける。



とにかくお客様にとっては、大変分かり易く親切な演出となります。

しかし役者にとっては、少々難役です。

これを見てしまうと、通常の演出では物足りなく感じられるかもしれませんが(笑)



最後に前場の、ワキが京童に扇と数珠を渡す場面の写真を添付しておきましょう。

撮影は駒井壮介氏です。許可をいただいております。

 
 

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