2012/12/26

2012/12/26 宝生流祖神祭乱能

 
 
 
 

 


本年最後の舞台は宝生流の乱能(らんのう)でした。

乱能というのは、シテ方と三役(ワキ・狂言・囃子)がそれぞれ本来の役と全く違った役を演ずるものです。
能では普段各役が専門の役以外はやってはいけないのですが、専門外の芸に対する知識や技術を勉強することによって、本来の役の芸に深みを持たせるというのが目的でしょう。


私は能「夜討曽我」の間狂言(あいきょうげん)の大藤内(おおとうない)と、舞囃子「西王母」の地謡を勤めさせていただきました。



まず「大藤内」

大蔵流山本家の山本東次郎先生(人間国宝)に稽古をつけていただきました。が、お恥ずかしい限り。前半は随分、絶句をしてしまいました。
専門外の役は、一度軌道を外れると、修正するのに一苦労です。
見所は大ウケのように感じましたが、やってる本人はいたって真面目にやろうとしているのに、絶句等で笑われるのは、いささか切ないです(笑)
やはり「餅屋は餅屋」ですね。
私は狂言はこれまで6、7番勤めておりますが(アドも含む)、今回はセリフがなかなか入りませんでした。
大抵の「夜討曽我」はワキがありませんので、普段は見る機会が少ないため、当然「大藤内」もちゃんとは見ていませんし、大蔵流の方が和泉流より前半のセリフが圧倒的に多い!


いやいや言い訳を言ってはいけませんね。ちゃんと覚えられない自分が悪いんです。



「西王母」の地頭

下掛宝生流は同じ宝生の字が付いていても、ワキ方の流儀ですし、謡本も全く別ですので、当然言葉も節使いも違います。
今回の乱能は宝生流主催ですので、謡は宝生流で謡うのが礼儀でしょう。従って今回謡いをさらう時は、下掛の謡本を見ていません。見てしまうと、その節回しが頭に残ってしまうからです。
幸い言葉は変わらなかったので、宝生流の節使いを教わって、覚えました。なんとか無事に終わったように思います。



勉強になりましたが、とにかく疲れました。
専門外の事を覚えるのは時間がかかりますし、普段とは比べものにならない緊張感を味わいます。
演能時間も長いし、楽屋に人も多い。



すぐに新しい覚え物に取り掛からなければなりませんが、気分的には一段落で、ほっとしております。


ありがとうございました。



2 件のコメント:

  1. 乱能、お疲れさまでした。見所の者としてとても楽しませて頂きました。
    大藤内、一度拝見したことがあるのですが、本物さながらの迫真の演技でした!でもフッと忘れてしまうというところがまた笑いを誘いなおさら楽しかったです。大日方さんとの掛け合いがまた良かったし♪
    謡は違いがわからないので申し訳ないのですが、きちんとこだわりを持ってやっていらっしゃる真面目な殿田さんを尊敬いたします。
    普段見られない能楽師の皆さんのお人柄も垣間見ることができ、大満足の乱能でした。ありがとうございます♪

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  2. あらき様 コメント有難うございます。セリフはワッと前日までに詰め込んだ浅漬け状態でしたから絶句も当然ですね。準備不足を反省しております。本番が今日くらいならばちょうど良かったかも・・・(笑)
    結果的に12000円を払ってまで見に来て下さっているお客様が、楽しんでいただけたのなら、楽師として本望です。
    乱能に限らず(笑)本業も頑張りますので、これからも宜しくお願い致します。

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