2022/11/25

2022/12/24 【予告】み絲之會 「紅葉狩」(紅葉ノ舞・群鬼ノ伝)



本年12月24日(土) み絲之會  国立能楽堂 12時30分開演(11時30分開場)

私は能「紅葉狩」のワキで出演させていただきます。
今回は「紅葉ノ舞・群鬼ノ伝」という小書が付いております。この小書、私は初演です。先々代宗家の信高先生がお作りになったと伺っております。

昨日おシテとおツレのお稽古があるというので、私も参加させていただきました。この小書、紅葉ノ舞は前半はツレが舞い、途中からシテが舞い始めます。そう言うと観世流の鬼揃の演出だと思われるでしょうが、もっと凝った舞になっております。詳しいことは秘密です😁
また群鬼ノ伝は、まさにワキのためにあるような小書ですね。唯でさえワキが活躍する曲ですが、鬼たちとの斬り組は盛りだくさん。病み上がりの私としては、復調の試金石となる舞台かもしれません。
当日はお遊戯的な運動会にならないよう、体調を整えて勤めようと思います。
おシテ他の女鬼たちは、男鬼に劣らない迫力で、まったくの本気でした。負けないように頑張ります😅

私の出るのは第1部。第2部もありまして、こちらは能「自然居士」。
1部、2部の通し券は、5500円。各部のみは、4000円です。

どうぞ大勢のお客様の来場をお待ち申し上げます。





 

2022/11/22

2022/11/20 北國宝生能「石橋(赤黒)」


 

私自身久々の出演させていただきました。
通常の石橋とは違う「赤黒(しゃっこく)」という小書の新演出。
宗家自ら、今まさに私たちが直面する混沌とした世界を、能楽として描き、後世に残したいという意欲作。
昨年秋に東京で初演され、今回二度目の上演。私は初めてでした。

一噌幸弘氏が作曲した新しい譜に乗って、赤と黒の獅子が戦いの様相を呈した舞。
よりアクロバティックな動きを交えた獅子舞に、お客様は魅了されたことでしょう。

翌日の北國新聞の朝刊に、記事が載っておりましたので、ご紹介いたします。




2022/11/12

蓮台寺(熊本市西区蓮台寺)「檜垣」②

雲巌禅寺から蓮台寺へ。

蓮台寺は「檜垣寺」の異名で知られる。新古今和歌集や後撰和歌集等で知られる女流歌人・檜垣が、晩年、肥後の国白川のほとりのこの地に草庵を結び、観音像を安置して信仰の日々を過ごしたのが寺歴の始めという。
檜垣については、この地で井戸の水を汲んで岩戸観音に日参したと言われ、
清少納言の父であった清原元輔が肥後国司であった時、檜垣が元輔と交わした歌

「年ふれば わが黒髪も 白川の 水は汲むまで 老いにけるかな」

「白川の 底の水ひて 塵立たむ 時にぞ君を 思い忘れん」

はこの地で詠んだとされる。




檜垣の塔

寛政年間、当時の住職であった明空上人が白川の氾濫による死者の供養のため、千日念仏行脚の上、境内に千体の地蔵を安置し、これにより「千体地蔵寺」とも呼ばれた。


能「檜垣」のあらすじ

肥後国 岩戸山に籠もって修行する、一人の僧(ワキ)。彼のもとには、一人の老女(前シテ)が毎日やって来ては、仏前に供える水を捧げていた。ある日僧が老女に名を尋ねると、彼女は「後撰集」に見える歌人・檜垣の女の霊と名乗る。彼女は、年老いて白川のほとりに住んでいた折に、藤原興範に水を請われ、歌を詠んだことを語ると、白川で自らを弔ってくれと頼み、姿を消すのであった。

僧が白川を訪れると、女の霊(後シテ)が年老いた姿で現れ、消えやらぬ執心ゆえに、今なお地獄で水を汲み続けているのだと明かす。彼女は、興範に請われて老残の舞姿を見せた思い出を語り、舞を舞う。

終わりなき因果の環からの救済を願いつつ、今日もまた水を運ぶのであった。




雲巌禅寺(熊本市西区松尾町平山)「檜垣」①

先月9日は熊本市にて、喜多流狩野先生の追善会に出演。翌日10日は舞台がなかったので、もう1泊して、能「檜垣」の舞台でもある史蹟を訪ねに出かけました。

朝ホテルを出る前は少し曇り空でしたが、レンタカーを熊本駅で借りて雲巌禅寺へ向かう途中から、俄かに晴れてきました。

雲巌禅寺

熊本市内の北西 金峰山の西麓に位置し、”岩戸観音”の名で親しまれている。四面馬頭観音が祀られている。また寺の奥には宮本武蔵が「五輪書」を書いた洞窟・雲巌洞があり、洞内には岩戸観音が祀られています。洞への道中に安置された五百羅漢は、釈迦の教えが身分階級を分かたず、あらゆる人々に対して平等であったことを訴えています。

















お決まりの「謡曲史跡保存会」の立て看板




帰り道でふと見つけた、檜垣の女の「詩詠場」。今は荒れ果てて訪れる人もなしか・・・




手前の小山の右端の辺りか?


雲巌禅寺のある岩戸の里公園の駐車場の近くに、有明海を望む黒岩展望所があります。能「檜垣」の冒頭、ワキが岩戸の景色を見ながらサシ謡を謡う場面。まさにこの景色であったかと感動しました。また次回「檜垣」を勤めることがあれば、この景色を思い浮かべたいと思います。




ワキ 名乗

是は肥後の国岩戸と申す山に居住の、僧にて候。さてもこの岩戸の、観世音は。霊験殊勝の、御事なれば。しばらく逗留し所の、致景を見るに。

南西は海雲漫々として。萬古心の内なり。人稀にして慰み多く。致景あって郷里を去る。誠に住むべき霊地と思いて。三年が間は居住仕って候。

ここにまた百(もも)にも及ぶらんと、おぼしき老女。毎日閼伽(あか)の水を汲みて、来たり候。今日も、来たりて候はば。如何なる者ぞ名を尋ねばやと、思い候。



能「檜垣」のあらすじは、檜垣②「蓮台寺」のところで書きましょう。