今年も宗家の装束の虫干しが始まりました。
実際は昨日からですが・・・(笑)
この時期に衣類を干すことを、土用干しと言うそうです。
梅雨時に湿気を含んでしまった装束を放っておくと、カビが生えてしまったり、虫食いになってしまうことがあります。
能装束も着物などと同じで、たとう紙の中に入れておりますが、物によっては、1年間全く使わなかったり、1年で100回以上使うものもあります。
傷んだ装束の修繕は勿論、たとう紙の修繕もやります。
虫干しは絶対外せない年中行事です。
古い能装束は貴重ですし、新調すれば大変高価です。
大先輩の思いや汗が沁み込んだ装束は、我々能楽師にとって、とても大事な物。命といっても過言ではありません。
けっして屋外で天日干しをするわけではありません。
陰干しで、風を通して息を吸わせると云います。
能装束は麻物を除けば、ほとんどが絹です。
カイコが桑の葉を食べて繭を作る絹糸は、人体に近いタンパク質なので、人肌と親和性が高いと聞いています。現代では科学的に解明されておりますが、昔からシルクが珍重されるのは、そうした事もあるのかもしれません。
しかし近年に新調した能装束は、滑らかさが足らず、耐久性も弱いと感じます。
技術が落ちたと決めつけるわけにはいきませんが、糸の質も落ちているのかもしれません。
究極カイコが食べる桑の葉まで昔と違うのでしょう。
能楽師も頑張らなければなりませんが、舞台裏の技術の保存にも、国はもっと目を向けていただきたいです。
最後にお昼、干している間にいただいた ソーキそばとスパムおにぎり。
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