2013年3月17日(日) 下掛宝生流 能の会 「檀風」
法政大学能楽研究所所長の山中玲子先生が、あらすじと解説を書いてくださってますので、ご紹介いたします。
当日ご覧いただけます方も是非お読み下さいませ。
檀風
鎌倉幕府を倒そうとして捕らえられた日野資朝(シテツレ)は、佐渡の本間三郎(ワキツレ)に預けられ処刑を待つ身である。
そこへ、子の梅若(子方)が帥の阿闍梨(ワキ)とともに、はるばるやって来て対面を願う。
折しも鎌倉からは「急ぎ処刑せよ」と命が下る。子の梅若に類が及ぶ
ことを恐れ、自分には子はいないと嘘をつく父資朝。
それでも父に一目会いたいと、刑場まで追っていって父に声をかけて
しまう梅若の一途さ。
哀れに思った本間は、梅若を無事に帰すと約束し、資朝はその言葉に安心して潔く死んでいく。
だが、幼い梅若にとって本間こそが父の敵。帥の阿闍梨の助力を得て、夜に紛れ本間を討ち果たす。
追っ手が迫り、島から出る舟には乗れず、危機一髪となる梅若と阿闍梨。だが、阿闍梨の祈祷によって出現した熊野権現が風を変え、舟を岸に呼び戻し、二人が乗り込むと再び風を吹かせて、舟を一気に若狭の浦へと送り届ける。
数多い登場人物のほとんどが脇方の役者であり、死刑の場面の描き方、装束を打たれた首と亡骸に見立てて丁寧に扱う秘事など、脇方の重い秘事になっています。
めったに上演されない稀曲ですが、親子の恩愛、敵討ち、力強い祈祷、主人公の危機を救う奇跡等々、見どころ満載。「井筒」のような
夢幻能とは違う、能のもう一つの魅力に触れてください。
(法政大学能楽研究所所長 山中玲子)
東京での当流の上演は、昭和48年以来、40年ぶりです。
「檀風」以外の演目を含め、人間国宝の先生方が5人出演されます。
当日の番組には、山中先生の別角度からの解説を載せさせていただきます。こちらも御期待ください。
皆様どうぞご高覧下さいませ。
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素謡を拝聴致しました!シテ・ワキに地謡を配して謡い本来の味わいと面白さが判りました^^。ただ気になりましたのは、能楽堂の本日の公演名が「壇風」となっておりましたので、謡本売り場の男性にお尋ねしましたところ、宝生流では「壇風」なのでどちらも正しいとのお答えでした。が、宝生流の「謡蹟案内」サイトでも「檀風」でした。念のため「大槻能楽堂」サイトの「壇風」では、いわゆる「鉢木」の佐野源左衛門常世の内容で、「檀風」と「壇風」では、全く違う筈です。袴姿の男性には申し訳ないですが、職業意識を強く持って欲しいものです。舞台そのものは、初見ですが、語りの劇性に富み、耳に馴染むで楽しめました。ただ、終曲後の拍手の仕方は、「曲」の内容に似合わず、無礼なものでして、残念!
返信削除失礼を致しました! 金剛流では「壇風」とあり、内容も本日の「檀風」と同じ曲のようです。「善知鳥」が「烏頭」であったりでしょうが、本日は「下掛宝生流能の会」であったのですが・・?
返信削除ノビル様
返信削除お返事遅くなって申し訳ありません。
失礼があった事、お詫び致します。
国立の張り紙も確かに2通りあったようです。確認しなかったこちらのミスでした。また流儀によって字も違います。
番組ではたとえワキ方の会であっても、曲名はシテの流儀の字体を書くのが通例です。
拍手に関しても流儀や地域によってマチマチですね。タイミングを強要し過ぎるのもいけないでしょうし、難しいですね。