能楽師・殿田謙吉が舞台活動や日常の事を綴ります。ワキ方らしく能楽五流の舞台をご紹介します。
2013/11/14
鎮扇 ② 「姨捨」 梅若万佐晴師
11月4日に催されました
橘香会(二世梅若万三郎 二十三回忌追善)にて「姨捨(おばすて)」を勤められた梅若万佐晴師から頂戴した扇です。
表は月、裏は姨捨山でしょうか。
「我が心 慰めかねつ更科や 姨捨山に 照る月を見て」
老女は捨て置かれた我が身を思い返し、全ては夢のように儚い世の中だからこそ、花に愛で、月に馴染んで夜遊に興ずる。
人間の魂の孤独と、それでも生きるしなやかな強さ。
真如の月は、
人の心をひと時癒し朝が来る。
この扇は、老女の心情が感じられます。
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